
医療機関
医療施設の種類は幾つかあるが一般的にどのような施設に対する需要が多いかを考察することから始めた。
病院、診療所、専門医療センター、老人病専門病院等である。この中で特に総合病院に対する需要が多い事は10年前の調査結果で判明していた。
医療法をはじめとする院内感染防止等の状況は大きく変わった事もあり、以前の資料や知見そして分析結果ををそのまま掲載する事はできないので省略をする。
しかし、そこには多くの問題点があった。また、10年前に著書で杞憂していた事がこんにちの課題となっている事は残念である。
参考にその論文を下記に抜粋しておく。
社会医療診療行為別調査報告書(先出)をみると、レセプト請求における老人医療は一般医療よりも1件当たりの比率が高く、一般医療の1、7倍になっている。しかし、病院経営実態調査報告(先出)の「老人病院、教育病院の収支額の状況」では赤字となっている。
この事を病院経営の視点から見ると、社会医療診療行為別調査報告書(先出)の103頁と366頁の比較の結果から、医業収入100対割合において総費用上の大差は無いが内訳が異なっている点が特徴的であるのが解る。つまり、老人病院の給与費と経費は高く、材料費は低いのである。
この事についての早急な結論は避けたいが、病院経営の観点から見える老人病院というものの在り方や、今後の在り方を考察する上で非常に大事な点である。
危惧される予想として次のような事が考えられる。杞憂で在ればよいが、そうでない兆候が現れるならば早急に対処する必要があるだろう。
病院経営の赤字の最大要因である人件費が焦点となっている現状で、人件費の高騰により老人病院は減少に転ずるであろう。
また、医業経費等の要因を削減する目的で、老人性慢性疾患の中で症状の固定化した人々に提供される『中間施設』が増加するであろう。
そして、給与費率と経費率が高い老人施設がこうした中間施設に移行するに従って、医業収益の縮小に伴う人件費の削減と労働加重の増大を生じさせるであろう。
この結果、そこに勤務する人々の患者に接する時間的余裕を奪い、個々の患者の人格に配慮した医療が失われるのである。
続きにあたる章は独立したサイトとしてMedical Sociologyの名称で展開している。