
予防検診の時間の消費と診察及び治療の費用負担が、その受診行動を決定する際の重要な要因である事は論を待たないであろう。
医学と経済社会関係は、医療関連法、医療費負担と医療保障制度が受診行為に及ぼす影響、医療関係者の法意識として説明できるであろう。
受診行為の決断に対して医療費の負担と医療制度が、治療水準としての生物医学的な要因と比較して対等な価値で影響を与える。
医療保障制度の諸問題はその国の地域的文化的構造の解明と、国際比較による問題点の整理により鮮明となる。
医療費の負担が医療制度を決定するのか、医療制度が医療費の負担を決定するのか、この矛盾した命題を説く鍵は容易でない。
敢えて鶏と卵論に言及するならば、発生学的な見地から、その鍵は個人の受診行動を起こす動機の解明をする事であると言える。
ここでは、そうした視点から個人の受診行為決定とその背景としての制度という命題として捉える事とした。