
生物医学的知識の表出と社会関係の表層
医学における社会経済的環境とは単に患者や医師そして医療関係者の個人的背景を意味するのではない。
生物医学的知識の表出とは診察と検査そして診断と治療という各段階において、診断や検査の方法に則したさまざまな医療工学機器と検査施設そして医療施設を社会に実現する事である。
社会関係の表層とは既に述べた経済構造であり、個人の内面と一定の隔絶をした実生活の事である。それは住居や街並みと着用する衣類や食生活そして医療機関などの外形的存在形態を意味しているのである。
社会関係のこのような外形的存在が実生活の基盤であることは、既に概要としてこれまでに述べてきた。ここでは生物医学的知識の表出との関連を探りたい。
経済構造の中で食生活を中心に衣料その他生活関連物資に関する物流と消費を詳しく述べながら、医療工学機器と検査施設そして医療施設の経済構造に於ける位置を明らかにする。
尚、住居の問題は、街という消費行動の重要な要因であるが、資本主義経済における土地家屋の所有関係に規定される事、個人及び法人の資産状況や経済変動に大きく左右される事、所得や投資に左右される事、金融構造に影響される事からここでの考察対象としなかった。