経済構造と金融構造



経済構造における金融構造の先導

 流通構造そして生産構造に於ける業界の意志を形成し先導しているのは金融構造である。

経営方針に関わる支配権は大手銀行やホールディングスなどの持株会社にある。

この状況は証券取引法に基づく有価証券報告書の株式の状況欄で容易にわかる。
 上場会社の大株主の殆どは都市銀行をはじめとする金融機関と保険業界そして純粋持株会社である。

従って、こうした大株主である金融構造を分析せずに流通構造や産業構造の正確な知見を得る事はできないのである。

金融構造は生鮮市場と同様に商品である債権などが取引される市場の発生があり、そこに流通している諸実体とその相互関連から生み出される新たな諸実体がある。

これらの諸実体は株や通貨といった債権、債務、担保物件等々である。

金融市場は長期金融市場と短期金融市場などがある。

長期金融市場は長期間で経済効果が現われる事業に資金を供給する市場である。


短期金融市場は流行語である「バブル経済」に象徴される短期で経済効果が現れる事業に資金を供給する市場である。

 金融構造は、実生活に必要な物の生産と流通を伴わない、債権と金利だけを中心とした市場を前提として成立している。
従って、バブルのような法による制御がない状態の出現は、金融市場が無秩序に際限なく広がる要因を秘めている事を立証した。

当然、経済政策と法による制御を必要としている。

金融市場に関する法は銀行法を初めさまざまである。現在2006年は純粋持株会社の支配力が実体経済に及ぼす影響の在り方が問題とされ始めている。

この著の本格的準備を始めたのが1987年末であった。

翌1988年の地形図の準備そして河川と暗渠の特定、更に2年間の資料の読み込みと再整理の期間があった。

続いて、1991年の春からのアンケート準備と集計及び解析を行っていた。

そして今日に至る僅かな期間に社会は大きく変動した。

 かつて信託銀行や都市銀行は金融バブルの崩壊に伴って生じた過剰通過の処理に直面した。

しかし、資金を生産および流通事業に対する融資よりも、投機対象としての土地取得に対する融資に意欲的となった。

その結果、不動産市場は異常な地価の高騰を招来したのであった。

いわゆる不動産バブルである。余談だが、現状は投資バブルとなり始めていないだろうか。
 銀行の社会的役割を考えるならば、銀行はこうした投機的土地取得にからむ通貨供給を可能とする経営をするべきでなかった。

また、銀行は無担保手形の発行等に際して銀行法の立法精神に基づき厳しく自己規制すべきであったと考える。

2006年現在は証券取引監視委員会の強化や証券法の改正で対応しようとする動きが出始めている。

 行政が行う法的処置としては臨時金利調整法第一条の厳格な運用で、金融市場の適正なコントロールが計られるべきであった。

またこうした事態に際して、司法は法の順守に関わる的確な措置を行うべきであり、そうしたシステムの確立が今後の課題であると思われた。


 金融構造は実体経済に影響を及ぼし消費経済に多大な影響を及ぼす事から、証券取引監視委員会を強化するなどの立法的措置を早急にすべるきである。

次の章はこうした経済構造のもとにおける個人の医療環境について展開してゆく。